フェルメールとレンブラントの共通点と違い【決定版】
フェルメールとレンブラントは西洋絵画を語る上でどちらもとても重要な画家です。
この2人の作品、作風には共通点が多く、またその中で2人の作風の違いを探すのも面白いです。
この記事では、そんなフェルメールとレンブラントの共通点と違いについて紹介します!
フェルメールとレンブラントの共通点と違い
2人の画家の作品の共通点
まず、一つに同時代に生きたオランダの画家ということが共通点として挙げることができます。
ヨハネス・フェルメール(1632〜1675年)享年43歳
レンブラント・ファン・レイン(1606〜1669年)享年63歳
また、2人の作品、作風の共通点として2人とも「光の魔術師」と言われ、光を巧みに表現した作品が多いです。
フェルメールの師といわれるファブリティウスもレンブラントの弟子の1人です。
ということはフェルメールも間接的にレンブラントの影響を受けていたのかもしれません。
◎オランダの同時代を生きた画家
◎「光の魔術師」と呼ばれ、光を巧みに表月した作品が多い。
2人の画家の作品の違い
「光の魔術師」という異名を持っていた2人の画家ですが、その表現方法はずいぶんと異なるものでした。
レンブラントはスポットライトのように1点から照らし、明暗のコントラストもくっきりした光を描きました。
一方、フェルメールの画面を満たす光はレンブラントとは対照的です。
薄いヴェールを通したかのように柔らかく拡散し、陰影をおぼろげにしています。
画業をスタートした頃は、フェルメールもカラヴァッジョ風のレンブラントに似た比較的コントラストが強い光を描いていました。
それが次第に洗練されて、穏やかで静謐な光へと変わっていったのです。
また、レンブラントの作品には聖書やギリシャ神話の知識がないと理解し難い作品も多いですが、フェルメールの作品はそうした予備知識を必要としない作品が大半を占めます。
いわゆる風俗画で、一般市民の日常生活を描いたものでした。
大がかりな歴史画や宗教画と違い、一般家庭を舞台とする風俗画は内容的にも身近で親しみやすく、それほど広いとは言えない市民の部屋に合わせているため、作品のサイズも小さいです。
フェルメールの現存する三十数点の作品は全てとても小さく、描いた「面積」という点から見ると、全作品を並べてもレンブラントの《夜警》に届くか届かないかです。
◎光の表現方法(明暗のコントラストがくっきり⇔柔らかな光で陰影をおぼろげに)
◎扱ったテーマの違い(歴史画や宗教画⇔風俗画)
◎作品のサイズ(レンブラントの作品は大きい⇔フェルメールの作品は小さい)
おわりに
世界初の株式会社といわれる東インド会社を設立して世界に進出し、今でいうGDP(国内総生産)でも、おそらくヨーロッパでナンバーワンの地位を築いたオランダ。
その栄光を今に伝えるのが17世紀オランダ絵画であり、この黄金時代の頂点に君臨したのがレンブラントです。
しかし、19世紀半ばに地元のオランダではなく、フランスの有能な美術批評家(トレ・ビュルガー)がフェルメールの生涯と作品を丹念に調べ、彼の本来の姿を明らかにしました。
以来、フェルメールはレンブラントと双璧をなす画家として世界中から注目を集めているのです。