【フェルメール】聖プラクセディスの作品解説【決定版】
【聖プラクセディス】は古代の聖女を描いたフェルメールの唯一残る模写作品です。
また、この作品は日本で唯一常設展示されている作品でもあります。
この記事では、そんな【聖プラクセディス】について解説しています!
①作品の概要
◎日本・国立西洋美術館寄託
◎1655年作
◎油彩・カンヴァス
◎101.6cm×82.6cm
プラクセディスは2世紀ローマでキリスト教殉教者の遺体を清めたことにより崇められた聖女です。
本作はフェリーチェ・フィチェレッリの同名同作品の忠実な模写です。
フィケレッリの作品と違うのは、プラクセディスの手に十字架が握られていることです。
フェルメールの【聖プラクセディス】は2014年7月、ロンドンのクリスティーズに競売にかけられ、手数料込み624万2500ポンド(約10億8600万円)で個人に落札されました。
それまではアメリカのバーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクションが所有していましたが、2013年にジョンソン夫人が亡くなり、競売に出されたのです。
落札した個人はなんと日本人で、後に国立西洋美術館に寄託され、現在に至ります。
②作品の見どころ・解釈
イエスズ会で重視されている聖プラクセディスが、キリスト教の殉教者を看取る場面です。
スポンジを絞り、水差しに注ぎ込んでいるのは殉教者の血です。
十字架を手に持たせることで、キリストの血と混ざることを象徴するという説もあります。
③絵は真作?非真作?
フェルメールは全部で37作品とされていますが、作品の中ではいまだ真贋が分かれているものがあります。
それが、【フルートを持つ女】と【赤い帽子の女】、そして本作【聖プラクセディス】です。
絵の左下に「Meer1655」という署名が発見されたためフェルメール作品とされていますが、署名の綴りが「フェルメール」と断定し難く、また粗雑な筆跡から、いまだ疑義を唱える専門家も多いです。
使われているシルバーホワイトの色が、他の作品と成分が同じだとアムステルダム国立美術館が発表し真作としましたが、マウリッツハイス美術館は認めていません。
現在聖プラクセディスは日本の国立西洋美術館にて展示されていますが、表記は「ヨハネス・フェルメール(に帰属)」と書かれており、かっこ付きです。
④おわりに
【聖プラクセディス】は、フェルメールの真作か非真作なのか、その真贋を問われる作品ではありますが、日本の国立西洋美術館に展示されている、ということもあり、アクセスしやすい作品です。
実際に実物をあなたの目で見てみることをオススメします!
下記では、他にもフェルメールの全作品を解説していますので、コチラもあわせてご覧ください。