絵画【フルートを持つ女】の作者はフェルメール?その真贋は?
絵画【フルートを持つ女】は中国風の帽子を被った女性を描いた作品で、作者は【牛乳を注ぐ女】や【真珠の耳飾りの少女】などでお馴染みのヨハネス・フェルメールです。
作者はフェルメールと“されています”が実際のところ、その真贋(本物か偽物か)はいまだ疑問視されています。
この記事では、そんな【フルートを持つ女】について解説しています!
①作品の概要
◎ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵(アメリカ・ワシントン)
◎1665〜1670年ごろの作品
◎油彩・板
◎20cm×17.8cm
本作品でおそらく最初に目を引くのが三角型の帽子でしょう。
同時代の作品では同様の帽子は見られませんが、所蔵先のワシントン・ナショナル・ギャラリーの研究員、アーサー・K・ウィーロックJrは17世紀後半の東洋趣味の流行と関係があり、中国の竹製帽子をアレンジしたものとみています。
他のフェルメール作品がカンヴァスに描かれているのに対し、板であること、サイズが非常に小さいこと、獅子の飾りがついていることから、よく似た特徴を持つ【赤い帽子の女】と対作品とされています。
女性がきている服は【天秤を持つ女】と同じです。
②作品の真贋は?
【赤い帽子の女】と同じく、現在もフェルメールの真筆であることを疑問視されている作品です。
ウィーロックJrは、年輪史に基づき板はフェルメールと同時代のものという調査結果を発表しました。
さらに科学調査で本作はオリジナルの上に変更で加えられた状態と指摘しました。
おそらくフェルメールの死後、似た様式で描いた周辺の画家、ヨハネス・クーレンビールの加筆ではないかと考えられています。
現に1676年、彼はフェルメールの妻から絵を数点購入したことがわかっています。
作品を売るために加筆して完成させたというのが一つの説です。
さらに、構図と筆触のぎこちなさからフェルメール作とは言い難いと、ウィーロックを含め多くの研究者が指摘しています。
近年、所蔵するワシントン・ナショナル・ギャラリーでは、作者を「フェルメール周辺の画家」と表記するようになりました。
③おわりに
【フルートを持つ女】に関しては、真贋にまつわる様々な説がありますが、美術史家のベンジャミン・ヴィンストックは面白い仮説を立てました。
彼は真の作者を、フェルメールの長女マーリアだと推測しました。
フェルメールは正式な弟子をとっていませんでしたが、マーリアが父親を手伝っていました。
彼女が手がけたと考えれば、若干ニュアンスが違うことも説明がつく、というのです。
さらに、彼はマーリアが自分をモデルに描いたトローニーだとも主張しています。
あるいは、フェルメールが描きかけた作品を、別の誰かが引き継いで仕上げたという説もあります。
このように諸説が飛び交い、本作品の判断は揺らいでいます。
なのでフェルメール作品が何点あるかというのはなかなか断定しにくいのが現状です。(本サイトでは37点として紹介)
下記では、他にもフェルメール作品を一覧にしてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。