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フェルメールが描いた《天文学者》と《地理学者》のモデルは?【決定版】

地理学者と天文学者
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【天文学者】【地理学者】は、フェルメールでは珍しい男性の単身像が描かれており、制作時期は1年違いで【天文学者】の方が先に描かれました。

どちらも学者をモチーフとし、雰囲気も似通っていることから、2つの作品は対だという見方が流布しています。

ただ、これについては異論もあり、両者は光の描き方が明らかに違うという意見があるのです。

確かに【天文学者】が柔らかく穏やかな表現であるのに対して、【地理学者】の光は強く、明暗のコントラストがはっきりしています。

とはいえ、作者の好みや作風が変化する可能性は十分にあり、2つが対でないとは言い切れません。

ところで、この2作品に登場する男性はどことなく似ているため、同一人物を描いたのではないかと考えられています。

その人物は、アントニー・ファン・レーウェンフックバールーフ・デ・スピノザの説がそれぞれあります。

この記事では、そんなフェルメールが描いた【天文学者】と【地理学者】のモデルについて紹介します!

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①アントニー・ファン・レーウェンフック

アントニー・ファン・レーウェンフック
アントニー・ファン・レーウェンフック

【天文学者】と【地理学者】のモデルの筆頭候補に挙がっているのがアントニー・ファン・レーウェンフックです。

レーウェンフックはデルフトで生まれた、フェルメールと同い年の科学者です。

元はアマチュアでしたが、独自に顕微鏡を開発し、初めて微生物の観察に成功しました。

フェルメール家とレーウェンフックに何かしらの交流があったことは古文書が証明していて、彼は、フェルメールの死後に財産の管財人を務めているのです。

フェルメールのテクニックには、光学的な知識を有していたのではないかと窺わせる部分が多いです。

レーウェンフックとつき合いがあったとすれば、それも大いにうなずけます。

もしかしたら、遺品にはなかったカメラ・オブスキュラも、レーウェンフックに借りたのかもしれません。

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いずれにしろ、モデルになっても不思議はない人物ではありそうです。

ただし、上の画像にあるヤン・フェルコリエが描いたレーウェンフックの肖像画と比べると、フェルメール作品の方が若干イケメンに仕上がっています。

②バールーフ・デ・スピノザ

バールーフ・デ・スピノザ
バールーフ・デ・スピノザ

バールーフ・デ・スピノザは自画像を描き残しています。

その自画像はフェルメールの描いた【天文学者】と【地理学者】とあまりにもよく似ています。

また、フェルメールとスピノザ永遠の公式を書いたマルタンは著書の中でこう述べています。

それはルーヴル博物館で見られるちょっとしたディテールである。まず、【天文学者】の天文学者も、【地理学者】の地理学者も、一見スピノザがつけていた小さな頭巾を着けていないことに注目しておこう。しかし、この頭巾は見ようとすれば見えるのである。つまり頭髪の明るい部分に絵と似たようなカールした髪が見られる。しかし、もっとワクワクさせるのは、天文学者の左手の人差し指が、あたかも鏡のように滑らかな完全無欠の様相を呈していることである。そこに日の光が反射しているさまを、フェルメールは太陽の強烈な光を呼び込みながら描いている。このディテールはモデルの手のこのうえない清潔さを示しているだけではない。それだけでなく、彼の爪がレンズの表面と同じくらい曇りがないことを示しているのである。レンズをよく磨くためにますます細かい研磨剤を使用することによって、レンズの表面をこする指の爪もまたますます磨かれていく。……『フェルメールとスピノザ《永遠の公式》』

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スピノザがモデルという確証はありませんが、フェルメールと直接関わっていた可能性が高いことは間違いなさそうです。

おわりに

結論を伝えると、モデルになったのがレーウェンフックなのか、スピノザなのかはわかりません。

多くの専門家が唱えるのはレーウェンフックですが、スピノザではないという確証はどこにもありません。

どちらにせよ、【天文学者】と【地理学者】が素晴らしい作品であることには違いないのです!!

下記では、他にもフェルメール作品(全37作品)を一覧にしてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。

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