フェルメールブルーとは?原材料と特徴【決定版】
フェルメールの代表作といえば【牛乳を注ぐ女】をはじめ【真珠の耳飾りの少女】や【青衣の女】などですが、これらに共通する魅力は、なんといっても「フェルメール・ブルー」と呼ばれる美しい「青」です。
この記事の見出しに使われている色もフェルメール・ブルーと同じ色です!
フェルメールはこの青色を出すために、希少なラピズラズリを原材料とする高価な絵の具を使うことにこだわりました。
17世紀は商業国オランダの最盛期であり、オランダでは貴重な絵の具を入手しやすかったのでした。
この記事では、そんなフェルメール・ブルーについて紹介します!
フェルメール・ブルーとは?
「フェルメール・ブルー」は【青衣の女】、【真珠の耳飾りの少女】、【牛乳を注ぐ女】などの作品に見られる青色のことです。
その色が強いインパクトを与えるせいか、【真珠の耳飾りの少女】は別名【青いターバンの少女】とも言われます。
フェルメール・ブルーの原材料はラピズラズリです。
ラピズラズリは非常に希少な鉱物で、値段は通常の顔料の100倍もし、金と同等の価値が言われるほど高価でした。
しかも、ラピスラズリは鉱物を砕いただけでは顔料にはならず、澄んだ青色を抽出するためには大変な手間がかかりました。
そんな高価で手間ひまかかるブルーを、フェルメールは惜しげもなく多用しました。
かつて、ヘルマン・キュンという研究者がフェルメール作品を30点調べたところ、25点にフェルメールブルーが使用されていました。
フェルメール・ブルーと名付けられるこの色は、いわゆるウルトラマリン・ブルーを指し、フェルメールが特別に調合した色というわけではないのですが、これほどふんだんに用いた画家はいませんでした。
フェルメールとフェルメール・ブルー
この作品を見ると、洋服やターバンといった目立つ部分は、ブルーが大量に使われていたことが一目で分かります。
さらに、フェルメールは、白い壁や黄色い洋服などにも青を混ぜているうえ、時には下塗りにさえ使いました。
つまり、全く青を必要としない部分にまで、隠し味のようにフェルメール・ブルーを潜ませたのです!
また、フェルメールは光の明るさを演出する手段としてもブルーを用いました。
こうした隠し味があったからこそ、画面がいっそう輝いたのです。
ただし前述したように、ラピズラズリは飛び抜けて値が張る顔料です。
常識はずれともいえる使い方ができた理由は、パトロン(スポンサー)がいたからだとも、裕福な義母に援助を受けていたからだとも推測されています。
晩年は借金を抱えていたとはいえ、画材を調達する資金に恵まれていたことはたしかです。
おわりに
この記事では、「フェルメール・ブルー」について紹介しました。
ちなみに、フェルメールといえばブルーを思い浮かべますが、実は黄色(鉛錫黄)の使い方にも長けていました。
青と黄色は補色の関係であり、互いの色を最も引き立てます。
黄色をそばに置くことで、フェルメール・ブルーが一段鮮やかに映えるのです。
下記では、他にもフェルメール作品(全37作品)を一覧にしてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。