【フェルメール】少女の絵画の解説【決定版】
【少女】は、異国風の服を着た個性的な顔の少女が特徴的な作品で、作者はヨハネス・フェルメールです。
この作品は、フェルメール作品37作品の中でも本作品ともう1点のあわせて2点にしかない特徴があります。
この記事では、そんな【少女】について解説しています!
1.作品の概要
◎メトロポリタン美術館所蔵(アメリカ・ニューヨーク)
◎1665〜1667ごろ作
◎油彩・カンヴァス
◎44.5cm×40cm
逆三角形の顔に薄い眉、大きな目で個性的な顔立ちなので肖像画説もあります。
しかし、モデルを使ったこともうかがえますが、これは肖像画ではなく、技術向上のためのトローニー(不特定人物の胸像)だと考えられています。
衣装のぎこちない表現や肩と腕の関節の不自然さから、マネキンをモデルにしたという説もあります。
髪をターバンで覆い、大きな真珠のイヤリングをし、異国風の衣服に身を包んでいるところは【真珠の耳飾りの少女】と同じです。
顔が入念に描かれているのに対して、衣服は筆致が粗いです。
2.作品の見どころ・解説
衣装の空想的な設定と個性的な顔立ちとが、どこかチグハグな感じを与えます。
羽織っている布の折ジワがかなり強調されているので、頭部がやや薄れ気味の印象になっています。
【真珠の耳飾りの少女】が1660年代の半ば、フェルメールの最も勢いのあった時期の作品だとしたら、【少女】はそれよりややおくれた、1660年代末に描かれた作品です。
3.作品の画法・技法・背景
1696年、フェルメールのパトロンと思わしき人物のコレクション由来の作品たちがアムステルダムで競売にかけられましたが、なかに3点のトローニーが混じっていました。
1点は【真珠の耳飾りの少女】、もう1点は本作品と考えられます。
両作品はほぼ同じサイズで、同じように少女をモチーフとしていますが、本作品の様式は1669年制作の【地理学者】に似た乾いた筆致を特徴とします。
また、トローニーとはいえ、広いおでこ、小さなアゴの個性的顔立ちは実在の人物を思わせます。
3点のうち、最後の1点は現存していないといわれています。
4.おわりに
この記事では、【少女】の見どころや技法などについてまとめました。
トローニーというジャンルは、17世紀のオランダやフランスで描かれていた絵画のジャンルで、フェルメール以外にもレンブラントなどの画家たちもこぞって描いたのでした。
下記では、他にもフェルメール作品(全37作品)を一覧にしてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。