全作品解説

信仰の寓意の来日はいつ?場所は?|絵画の意味と解釈は?【決定版】

【フェルメール】信仰の寓意の作品解説

【信仰の寓意】は寓意(ぐうい)が込められた非現実的な室内空間が特徴的な作品で、作者は【牛乳を注ぐ女】【真珠の耳飾りの少女】などでお馴染みヨハネス・フェルメールです。

耳飾りちゃん

なんとこの作品が初めて来日することになっています!

 2021年11月から開催予定の「メトロポリタン美術館展」に、フェルメール作品【信仰の寓意】が出品され、大阪と東京の2ヶ所で見ることができます。

展覧会開催情報

大阪会場
■会場:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町 1-82)
■会期:2021年11月13日(土)~2022年1月16日(日)
■主催:大阪市立美術館、メトロポリタン美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪

東京会場
■会場:国立新美術館(東京都港区六本木 7-22-2)
■会期:2022年2月9日(水)~5月30日(月)
■主催:国立新美術館、メトロポリタン美術館、日本経済新聞社ほか

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この記事では、そんな今注目を集めている【信仰の寓意】の見どころを解説しています!

①作品の概要

信仰の寓意の作品概要

【信仰の寓意】は【絵画芸術】に次ぐ本格的な寓意画です。

背景に描かれたヤーコブ・ヨルダーンスの《キリストの磔刑》の絵や十字架、聖杯とかたわらの聖書はもちろん、室内の様々な物に信仰にまつわる寓意が込められています。

J・ヨルダーンス【磔刑】

女性が踏みつけている地球儀は「現世」、見上げているガラス球は「天上界」、床の上のリンゴやヘビは「原罪」、十字架、聖杯、聖書は「キリスト」、隅石(礎石)は「教会」の象徴です。

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本作品はイエスズ会の依頼で描いたものと見られています。

②作品の見どころ・解説

信仰の寓意の作品の意味

【絵画芸術】と同じ構図、同じ寓意図ですが、【信仰の寓意】ではさらに寓意画が強調され、かなり非日常的な様相を呈しています。

胸に手をあてた女性の大げさなポーズは、チェーザレ・リーパの寓意集「イコノロギア」の信仰関連の図像を参考にしています。

そこに記されているのは、次のようなカトリック的な信仰の寓意の数々です。

「深紅色の服の上に空色の上着を着て、月桂冠をかぶった女性の座像。足で地球を踏み、右手に聖杯、左手は本の上に。木の下にはキリストを表す教会の隅石(礎石)。その下にはつぶれたヘビが横たわる。死を表す折れた矢と、原罪を表すリンゴが転がる。茨の冠が後ろに掛けられ、遠方にアブラハムによるイサクの犠牲が見える‥‥」

この記述を絵画化した作品は他にもあり、オットー・ファン・フェーンの作例はリーパの指示に近いです。

フェルメールの本作品は日常生活の場を舞台にしていますので、月桂冠や折れた矢などは描かれていません。

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しかし、「アブラハムによるイサクの犠牲」は省かれたのではなく、画中画のヨルダーンス《キリストの磔刑》で代用されています。

アブラハムによるイサクの犠牲は、新約聖書に語られるキリストの受難を先取りした旧約聖書中の主題であるとの神学的な考えがあり、磔刑の主題と交換が可能だったのです。

ちなみに、画中画の《キリストの磔刑》は、フェルメールが亡くなった後に作成された財産目録に出てくる「磔刑を描いた油彩画」を利用して描かれたのであろうと推測されます。

また、「信仰」を見詰めるガラス球は、なかに水を入れて照明として用いられた実用品ですが、ここでは全てを映し出す神の象徴としても機能しています。

③作品の画法・技法・背景

フェルメールの晩年を飾る代表作で、これより4年ほど前に描かれた【絵画芸術】と構図に類似が見られることから下敷きとして構想したという説もあります。

【絵画芸術】と比べると、キリスト教関連の事物が多いことなどから日本人にとっても主題がわかりやすい作品です。

部屋の設定もきわめてよく似ていますが、しかし、タペストリーや衣装などを描く筆遣いには大きな差があり、より簡略的・省略的になってきています。

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こういった特徴から【信仰の寓意】は最晩年の作品の一つに数えられます。

④おわりに

この記事では、【信仰の寓意】の作品の見どころや画法、背景などをまとめました。

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それまでのフェルメールの作品は、作品の意味を曖昧にすることが多かったのですが、本作品が伝えるメッセージはまさに「信仰」と、非常にシンプルです。

1699年、それまで所有していたヘルマン・ファン・スウォルは本作は【デルフトの眺望】の2倍に当たる高値で売却しました。

1718年の競売でも高額で取り引され、フェルメールの死後しばらくは高く評価されていましたが、1735年には53ギルダーまで下がりました。

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当時は評価がそこまで高くありませんでしたが、いまや、作品の価値は計り知れないものとなっています。

下記では、他にもフェルメール作品(全37作品)を一覧にしてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。

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