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【キューピッドの意味は?】窓辺で手紙を読む女の作品解説【決定版】

窓辺で手紙を読む女の作品解説
vermeer

【窓辺で手紙を読む女】は、窓のある小部屋にフェルメールらしさが表出した作品です。

また、この作品は2022年に日本に来日しますので、実際に作品を今なら見ることができます。

この記事では、そんな【窓辺で手紙を読む女】について解説しています!

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①作品の概要

窓辺て手紙を読む女
基本データ

◎ドレスデン国立絵画館所蔵(ドイツ・ドレスデン)

◎1659年ごろ作

◎油彩・カンヴァス

◎83×64.5cm

小部屋の左側にある窓から差し込む光で女が手紙を読んでいます。

左側にある窓から差し込む光が、手紙を読み耽る女性だけでなく、壁にも表現されています。

“光の魔術師”であるフェルメールが得意とする構図であり、フェルメールの個性が確立し始めた時期の1枚です。

②作品の解釈

窓辺に若い女性が立って一心に手紙を読んでいます。

【窓辺で手紙を読む女】は、1660年代前半から始まる女性単独人物画の最初期にあたる作品です。

前景にタペストリーで覆われたテーブルを配置し、静物を載せるカラヴァッジョがよく用いた構図は前の作品である【取り持ち女】【眠る女】と共通します。

しかし、質感の描写は一段細かくなり、反射する光に対する意識も強くなってきています。

また、窓ガラスに映る女性の顔まで丁寧に描かれています。

右手前の緑のカーテンは、マース作品やファン・フリートの境界内面に見られるモチーフで当時の流行でした。

カーテンの向こう側を舞台のように見せるロンブルイユ(錯視)的な効果がありますが、ここでの役割は画面左の窓との釣り合いをとることでした。

③キューピッドの現在

右上の壁に愛の神キューピッドの、大きな絵が描かれており、後世に何者かが白く塗りつぶしてしまいましたが、現在は元の姿に戻っています。

窓辺で手紙を読む女の修復前

このキューピッドは、女性が読んでいる手紙がラブレターであることを示唆しているのですが、近年までは、『フェルメールが制作途中でキューピッドを上塗りした』とされていました。

しかし、2019年の調査で後世の別の誰かが上塗りしたということが分かり、2021年に修復作業が完了し、元の姿に戻りました。

ちなみに修復作業を終えた【窓辺で手紙を読む女】ですが、なんと修復後、世界初出展で日本にやってきますので、ぜひこの機会にご覧ください!

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③作品の技法・画法・背景

フェルメールが「手紙」を主題に描いた作品は現存しているもので計6点あります。

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当時画期的なツールだった手紙に、フェルメールも大きな関心を抱いているのがわかります。

国内の運河網だけでなく海を越えて世界と繋がったオランダは、ネットワークの発達と相まって郵便制度がいち早く整備されました。

当時はオランダの男性労働者のおよそ10%が国外や船上で働いていたので、手紙は家族や恋人とのコミュニケーションに欠かせないものでした。

絵画の分野ではヘラルト・テル・ボルフが他の画家に先駆け「手紙」を風俗画のテーマとして確立して以降、多くの画家がそれに続きました。

手紙を書く女(ヘラルト・テル・ボルフ)
ヘラルト・テル・ボルフ「手紙を書く女」

なかでも人気の主題は、想いの機微を繊細に表現できるラブレターでした。

フェルメールは手紙に対し、流行のツールというだけでなく芸術表現における新たな可能性も見ていたと推測できます。

また、オランダでは郵便制度の発達や、活版印刷の発明などによって「プライヴェート」という概念が誕生しつつありました。

その新たな動きをどこよりも早く意識したオランダで、誰よりも敏感にそれを察知し、絵にしてみせたのがフェルメールです。

表舞台から一歩奥で暮らす女性の日常の姿は、この「プライヴェート」の雰囲気を伝えるのにうってつけです。

他の作品に比べて、この作品は見下ろしている視点であるために、フェルメールが立って描いたとする見方もあって、これをもとにフェルメールの身長を算出したところ、165〜170cmだったという結果も出ています。

④おわりに

【窓辺で手紙を読む女】は、流行を意識しつつ、独自性を打ち出すフェルメールの売り出し戦略がうかがえて、興味のつきない作品です。

修復後初出展で日本にもやってくる今注目の作品ですね!

下記では、他にもフェルメールの全作品を解説していますので、コチラもあわせてご覧ください。

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