フェルメールの作品はなぜ人気?その理由を徹底考察してみた【保存版】
【牛乳を注ぐ女】や【真珠の耳飾りの少女】で有名なフェルメール、彼の作品はここ日本で昨今注目が集まっています。
特に、2018年に行われた「フェルメール展」では、過去最多の9点もの作品が日本に来日し、たくさんの来場者を記録し、2019年の上半期展覧会入場者数ではトップとなりました。
これほどまでに人気のフェルメールですが、なぜ人気が高まってきたのでしょうか。
この記事では、フェルメールの作品がなぜ人気かを徹底考察しています!
フェルメール人気はいつから?
そもそもこのフェルメール人気はいつからなのでしょうか。
例えば、日本に初めてフェルメール作品がやってきたのは1968年で展覧会の名前が「レンブラントとオランダ絵画巨匠展」という名前でした。
この時代はやはりレンブラントが主役だったようです。
しかし、2000年になると、展覧会のタイトルは「日蘭交流400周年記念特別展 フェルメールとその時代」になりました。
2000年ごろからフェルメールは、ポピュラーな存在になっていったのです。
その後、2004年からは毎年のようにフェルメール作品が来日し、2012年の「マウリッツハイス美術館展」になると、来場者は数百万人規模に膨らんでいきました。
フェルメールはなぜ人気?
①現存している作品が少ない
まず、フェルメールの作品は現存しているものが三十数点しかありません。(正確には35〜37点で、今も真作か贋作か討論されている作品がある)
なぜ、三十数点しかないのかというとフェルメールは43歳という若さで亡くなり、画家としては20年ほどしか活動していなかったからです。
また、その作品たちは世界17の美術館に散らばり、なかなか現物を見ることができません。
なので、その希少性から、人気が高いのです。
また、作品の数が少ないので全作品を知る、見るというハードルが他の画家より低く、その網羅性も人気の一つかもしれません。
②分かりやすい風俗画
次に、フェルメールの作品の人気の理由として、その作品のほとんどが室内の風俗画である、ということが挙げられるでしょう。
「◯◯な女」というタイトルの作品が多いのがフェルメールの一つの特徴です。
この風俗画は、一般市民の日常生活を描いたものです。
物語画や人物画などではなく、自分たちの生活を描いた風俗画が現代の私たちにとっても親和性の高いもので、受け入れられやすいものだったと考えられます。
また、同時代の画家であるレンブラントの作品には聖書やギリシャ神話の知識がないと理解し難い作品も多いですが、フェルメールの作品はそうした予備知識を必要としない作品が大半を占めます。
例えば、ヘビ=原罪、聖書=キリストなどの知っていないければ理解できないモチーフがフェルメールの作品には少ないのです。
フェルメールの作品はほとんどが室内風俗画ですが、二点だけ都市景観画も描いています。
③小さく静謐で柔らか
大がかりな歴史画や宗教画と違い、一般家庭を舞台とする風俗画は内容的にも身近で親しみやすく、それほど広いとはいえない、当時絵の購入者であった市民の部屋に合わせて作品が作られているため、サイズも概して小さいです。
フェルメールの作品は全てサイズが小さく、全ての作品を合わせてもレンブラントの《夜警》のサイズに収まるほど小さいです。
そして、フェルメールの作品は静謐で柔らかな光が降り注ぐ、優しく穏やかな作品が多いです。
この素朴で優しい、穏やかな作風が現代の私たちの「癒し」として機能しているのかもしれません。
おわりに
この記事では、フェルメールの作品はなぜ人気なのかその理由を考察しました。
まとめると、
①現存する作品が少ない
②分かりやすい風俗画がほとんど
③作風が静謐で柔らか、優しく穏やかな作品が多い
となります。といってもフェルメールの魅力はこれだけでなく、「光の魔術師」と呼ばれる彼の様々な意匠が私たちを惹きつけるのかもしれません。
下記では、フェルメールの作品の特徴的な5つの意匠(工夫)についてまとめていますので、コチラも合わせてご覧ください。