フェルメールの絵(作品)の5つの特徴【完全版】
![フェルメールの5つの特徴](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2021/09/フェルメールの5つの特徴.jpg)
【牛乳を注ぐ女】や【真珠の耳飾りの少女】などの有名な作品を描いたのがヨハネス・フェルメールです。
フェルメールの作品には、他の画家にはないような特徴があります。
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/名称未設定のデザイン.jpg)
この記事では、そんなフェルメールの作品の5つの特徴について紹介します!
①室内風俗画が作品のほとんど
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/青衣の女-1-1024x576.jpg)
「◯◯な女」というタイトルの作品が多いのがフェルメールの一つの特徴です。
彼は、約20年の画家人生の多くを女性が主役の室内風俗画に費やしました。
それは国王も貴族もおらず、教会の権威とも距離をおいた新しい国オランダならではです。
社会の主役である市民たちが、自分たちがモデルの風俗画を好んだのでした。
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/名称未設定のデザイン.jpg)
フェルメールの作品はほとんどが室内風俗画ですが、2点だけ都市景観画も描いています。
![フェルメールが描いた2つの風景画とは?モデルの場所は?【徹底解説】](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/デルフトの眺望と小路-320x180.jpg)
②高度な空間描写
![牛乳を注ぐ女の一点消失法(消失点)](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2021/07/59.jpg)
フェルメールの作品には、高度な空間描写が散りばめられています。
例えば、上の写真は【牛乳を注ぐ女】ですが、女性の右手の上には実は小さな穴があります。
これはフェルメールがカンヴァスにピンを刺した跡(消失点)です。
正確な構図を得るために、白い粉をまぶした糸を何本かピンに結んで、画面の外側に向けて張り、その糸をはじいてカンヴァスに白い跡をつけ、その線をなぞることで、窓枠などを作品上に組み立てたのです。
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/名称未設定のデザイン.jpg)
これは遠近法で描くための方法で、一点消失法といいます。
![フェルメールが使った線遠近法(一点透視法)とは?その3つの作品](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2021/09/365-640x360.jpg)
③光の表現方法
![牛乳を注ぐ女のポワンティエ](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2021/07/58.jpg)
フェルメールは「光の魔術師」と呼ばれるほど光の表現方法に卓越していました。
その中でも、特にフェルメールの独特の表現であるのが「ポワンティエ(点綴法)」です。
窓からの光がテーブルの上のパンに反射して、ゴツゴツした質感まで表現されています。
光の反射は明るい色の絵の具を使用して点を描いているのです。
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/名称未設定のデザイン.jpg)
ちなみにテーブルのパン籠にも同じ技法が使われています。
![光を巧みに操ったフェルメールの表現技法とは?3つの技法【決定版】](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/フェルメール特徴-2-1-320x180.jpg)
④鮮やかな色彩
![絵画芸術](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/絵画芸術-1024x576.jpg)
フェルメールの作品の特徴の一つとして、極端に色の数が少ないことも挙げられます。
【真珠の耳飾りの少女】や【牛乳を注ぐ女】などを見ても、画面で目を引くのは青、そして黄色の二色です。
特に「青」にはこだわりがあり、古代から珍重された宝石・ラピズラズリを粉末にした高価な絵の具を使っていました。
このため、画面の中で際立つ独特な青は「フェルメール・ブルー」と呼ばれています。
この青を、例えば、作品の中の赤いスカートや黄色い着衣などにも混ぜていたほど、好んで使用していました。
そして黄色は、正反対の色として青と隣り合わせて配置することによって補色の効果を生み、互いの色をもっと引き立て合う役割を果たしているのです。
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/名称未設定のデザイン.jpg)
この「フェルメール・ブルー」の塗料は一般的な塗料の100倍の値段でした。
![フェルメールブルーとは?原材料と特徴【決定版】](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/フェルメールブルー-320x180.jpg)
⑤現存する作品が少ない
![真珠の耳飾りの少女](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/真珠の耳飾りの少女-1024x576.jpg)
43年の生涯のうち、画家として活動したのは20年ほどです。
22歳の時に起こった故郷・デルフトの火薬庫の大爆発事故で初期の作品が消失してしまったとも言われ、現存するのは37点だけです。
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/名称未設定のデザイン.jpg)
そのうちの数点を、フェルメール自身の作品ではないと指摘する研究者もいます。
特に初期の作品は、有名な【真珠の耳飾りの少女】などとは技巧も作風も非常に異なるので、真贋が揺れています。
とすると、フェルメールは一年間で一点ないし二点の作品しか描かなかったことになります。
晩年は義母の仕事も手伝っていたため、じっくりと制作に没頭する時間が少なかったのかもしれません。
![フェルメールの晩年は?その頃の作品は?【保存版】](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2021/09/フェルメールの晩年期-320x180.jpg)
まとめ
フェルメールの作品の特徴をまとめると、
①ほとんどの作品が室内風俗画
②高度の空間描写(一点消失点)
③巧みな光の表現方法(ポワンティエなど)
④鮮やかな色彩(フェルメールブルー)
⑤現存する作品は37点のみ
卓越した意匠が散りばめられているフェルメールの作品たちは、世界の17の美術館にのみ所蔵されています。(2点を除く)
![](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/名称未設定のデザイン.jpg)
現存する作品が37点しかないというその希少性も手伝って、フェルメール作品の謎めいた魅力は増しているのです。
![【どこにある?】フェルメール作品に出会える全17の美術館【完全版】](https://vermeerpaint.com/wp-content/uploads/2023/02/世界の美術館-320x180.jpg)